「渋谷をつなげる30人」フューチャーセッションズ野村恭彦


渋谷では、とてもおもしろい活動が行なわれています。

そのひとつが「渋谷をつなげる30人」というプロジェクト。

まさに、「コレクティブ・インパクト」を体現しているこのプロジェクト。

30人がつながることで、街が変わる?その真意を、プロジェクト発起人であるフューチャーセッションズの野村恭彦氏と、共に活動をしているドミニク・シェラー氏に聞いてきました。


《登壇者プロフィール》

株式会社フューチャーセッションズ

代表取締役
野村 恭彦 氏

慶應義塾大学修了後、富士ゼロックス株式会社入社。同社の「ドキュメントからナレッジへ」の事業変革ビジョンづくりを経て、2000年に新規ナレッジサービス事業KDI(Knowledge Dynamics Initiative) を立ち上げ。2012年6月、企業、行政、NPOを横断する社会イノベーションをけん引するため、株式会社フューチャーセッションズを創設。




ecloo GmbH

Dominik Scherrer 氏


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他人事を自分ゴトへ変えていく「渋谷をつなげる30人」


本日いらっしゃったドミニクさんは「渋谷をつなげる30人」を、3年前から一緒にディスカッションしていただいています。さらに、彼は「Paris 30」を立ち上げようということで、パリの副市長に面談をするそうです。


このように、渋谷から始まった手法が、世界まで広がっていますよという話も、本日できればと思います。


渋谷区基本構想を皆さんご存知でしょうか?「ちがいをちからに変える街。渋谷区」というコンセプトのもと、様々な表現で「渋谷の未来をこうしていきたいね」ということを提示しています。


そこに、多様性をもつ30人を集めて、基本構想をみんなで実現しよう!というのが「渋谷をつなげる30 人」プロジェクトになります。



企業のひとを20人、NPOのひとを8人、行政のひとを2人お招きして、合計30人が集まっています。毎年割合は同じ。


この30人の方々には「ファシリテーション」を学んでいただいています。つまり、この30人の中で何かをやるだけではなく、30人で課題を設定してワクワクするビジョンをつくり、オープンセッションの場に多くのステークホルダーを招いて、一緒に課題を解決していきます。コレクティブ・インパクトとかなり近いことを、私たちはやっているのです。



摩擦のないこの30人で何かを考えたり、そこに外部のひとを呼んで、時には摩擦を感じながら一緒になって課題を探ったりしていきます。はじめは30人でスタートし、徐々にひとが増えていき、最後にはかなりの人数になっていることも、このプロジェクトの特徴だと思います。


実際にどんな活動が生まれたかご紹介します。


BOSCHさんに会場を借りて、greensさんと一緒になって若者のコレクティブ・インパクトを生むような活動を毎月やったり、「CAMPFIRE LOCAL SHIBUYA」という、渋谷区・CAMPFIRE・フューチャーセッションズが組んでソーシャルに価値があるクラウドファンディングを応援していくという協定を結んだり、子どもとスタートアップのひとたちが出会うことで、こどもに将来の夢を広げてもらおうという活動をしたりしています。


おもしろいのは、これらでできたつながりから、また別の活動が生まれていることです。


​その例としては、渋谷区のシェアリングエコノミーを推進する「SHARE SHIBUYA」。街の中を運動場にしていこうという基本構想のもと生まれた「企業対抗ボウリング大会」。東急プラザの上に畑をつくって、こどもたちと一緒に野菜をつくってく「NPO法人URBAN FARMERS CLUB」。また、原宿の中心部に「subaco」という寄付をはじめるコミュニティスペースをつくりました。このように、次々と新しい取り組みが生まれています。


なぜ、このように様々なものが生まれてくるのか?それは、結局仲がいいからです。「なんかおもしろいから、一緒にやろうよ!」「なんかよくわからないけど、いいよ!」そういうやり取りができる関係が、ここにはできています。


渋谷区の中心的なプレーヤーたちと、昔ながらの友だちより仲良くなる。だからこそ、新しいことがこのスピード感で生まれているのだと思っています。


社会課題を、都市や街の行政単位で区切ると「じゃあ自治体がなんとかしてよ」みたいなことになりやすいんです。そうすると、限られたインパクトになってしまう。



そうじゃなくて、自治体がこっちに来てもらったらどうかと考えました。「信頼のつながりのコミュニティ」をつくることで、企業・NPO自治体すべてがこの街の所有権を取り戻した感覚になります。自分たちが所有権を持っているので、他人事ではなく自分ゴトになるのです。


これを今、ドミニクさんと「Project 30」という、とある街に30人を集めて信頼関係をつくり、都市を大きく変えていこう、そんなプロジェクトとして始めています。


それでは、ここからはドミニクさんに話してもらいましょう。


「Project 30」は新しい多様性の表現である​

「渋谷をつなげる30人」に対して、とてもインスピレーションを受けています。いろんなひとに話したら、それはおもしろいね!という反応をいただけるんです。


ただ30人を集めるだけで街が変わる!このアイデアに、とても魅力を感じています。1年前にチューリッヒの「Impact Hub」という、この会場に似たような空間で、野村さんと一緒にイベントをやらせてもらいました。NGOと企業がどうしたらもっと一緒になって街を変えていけるか?という取り組みです。


なぜ、このProject 30を世界に広げないといけないと思ったのか?我々が生きていく上でも働く上でも、自分と違うひとと何かを一緒にすることが、指数関数的に大事になってくるからです。


1歩歩いて1mであれば、30歩あるけば30m進みますよね。これが1歩1m,2m,4,mと倍々になっていくとき、それを30回繰り返すとどのぐらい遠くに進めるでしょうか?実は26回地球を回れるほど、30歩で進んでしまいます。違うひとと出会うことは指数関数的に、同じぐらいの価値があることなんです。


Project30は、自分と違うバックグラウンドのひとと出会うためのツールです。


ちなみに、ダイバーシティがなんなのか?と聞かれた時、いろんなことを考え、これらは新しいことを生み出す源泉なのです。



上記のどの言葉がもっとも「多様性」という意味で、大事になってきているでしょうか?


日本では、「年齢」がもっとも注目されているところがあると思います。ヨーロッパでは、「移民問題」がすごく悪化していて、それをポジティブなものに変えられるか?がとても重要になっています。


ソーシャルハブリックというNPOがあります。彼らは異なる国から来たひとたちの仕事をつくるために、洋服を作れるスキルとその国の言語を教えています。


企業においても、こういったダイバーシティをどう使っていくかはとても大事です。NBBはインドやNYなど、いろんなところにアウトソーシングをしていて、10カ国が1つのチームになります。そこでは、お互いの違いをマイナスではなく、プラスにできるか?を真剣に考えているのです。


そういう意味では、社会課題だけではなくて、男性と女性の関係も非常に重要です。


このProject30を世界中に広がってほしいと考えてる、その一番の理由は、「新しい多様性の表現」だと思うからです。全く違う30人が集まり、社会的団結を生んでいること、これは“経済”と同じぐらい大事です。


このトラストが、セクターを越えてつくることで、「コレクティブ・インパクト」が生まれます。なので、「30人集めれば街が変わる」というのは、とてもシンプルでおもしろいアイデアだと思います。


本日は、ありがとうござました。


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以上、「渋谷をつなげる30人」の様子をお届けしました。


異なった30人が集まることで生まれる化学反応、その価値と可能性を強く感じることができた時間でした。


印象的だったのは、野村さんの「結局仲がいいからなんです」という言葉。ここには、「コレクティブ・インパクト」や「渋谷をつなげる30人」のように、今後の社会において最も重要なことが詰め込まれている、そんな気がしています。


今後の「project 30」には要注目です。


文:長田涼